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【読書レビュー】希望が死んだ夜に(天祢 涼)


■あらすじ

神奈川県川崎市で、14歳の女子中学生・冬野ネガが、同級生の春日井のぞみを殺害した容疑で逮捕された。
少女は犯行を認めたが、その動機は一切語らない。
何故、のぞみは殺されたのか?
二人の刑事が捜査を開始すると、意外な事実が浮かび上がって――。
現代社会が抱える闇を描いた、社会派青春ミステリー。


■感想

表紙に惹かれて購入した1冊。
天祢 涼さんの作品は初読みとなります。

本作は、女子中学生が同級生殺害の容疑で逮捕されるという衝撃的なシーンから始まります。

殺害の動機は一体何だったのか。
事件を捜査する2人の刑事とともに事件の真相が気になって、つい読み進めてしまいます。
しかも読みやすいので、すいすい読んでしまう。

物語が進んでいくと、容疑者と被害者の2人の女子中学生を取り巻く世界や未成熟なその心の行方が描かれ、今度はこの女子中学生たちがどうなっていくのかが気になっていきます。

そして物語は冒頭に戻って、1人は死に、もう1人は容疑者となって逮捕される。
女子中学生2人の行く末は分かっていても、その経過に惹きこまれてしまいました。

そうして物語の終盤で明かされる、2人の刑事や読者が求めていた『真実』。
それはあまりにも身勝手で利己的で、それでいてどこか少しだけでも共感できる感情があって苦しく感じる。
まさしく本作のタイトルにある『希望が死んだ』という言葉に相応しい真実だと思いました。

他の方にもお勧めしたい作品です。
天祢さんの他の作品も気になるので、ご縁があればまた購入したいと思います。