■あらすじ
繁華街のカラオケボックスに集う4人の男。
めいめいに殺意を抱えた彼らの、今日は団結式だった。
目的は一つ、動機から手繰られないようターゲットを取り換えること。
トランプのカードが、誰が誰を殺るか定めていく。
四重交換殺人を企む犯人たちと、法月警視＆綸太郎コンビの、熾烈な頭脳戦をご堪能あれ！
■感想
本作、法月警視＆作家・綸太郎親子のシリーズもののミステリーでした。
しかもシリーズの何作目かは調べてないですが、1作目でないのはたしか。笑
そんな中途半端なところから読み始めてしまいましたが、ほとんど違和感なく読み終えることができました。
本作のポイントとしては、何より読者が犯人を知っているというところ。
犯人を知っているといっても、四重交換殺人の全てを把握しているわけではないので、ここに読者を驚かせるトリックが隠されています。
そして事件を解決する側の法月親子の推理を、（完全ではないにしろ）物知り顔で読み進められるというところもポイントですね。
「あー、そう考えちゃうわけね。なるほどなるほど。」みたいな気持ちになります。笑
そして法月親子の推理にも、これまた読者のミスリードを誘うトリックが仕掛けられてるんですよね。
結末としては大どんでん返しというよりかは、シンプルに「騙された！そういうことか！」と思わされるストーリーになっています。
ストーリー全体としては、これから殺人を行おうとしている犯人たちのちょっとした杜撰さや、最初から犯人たちを明かしている割りに犯人たちの人物像の描写の薄さを感じることはありましたが、普通におもしろいです。
何がおもしろいかって、読み終えたあとに分かるプロットのすごさです。
本作はストーリーも楽しめますが、それよりも作者の法月 綸太郎さんの技量を楽しむ作品だと思いました。
他の法月親子シリーズも気になりますね。
今度はシリーズ1作目から読みたい。笑
書き手の「読者を騙すぞ！」というずるさも少々感じるところはありますが、それでも十分に楽しめる作品でした。
