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【読書レビュー】滅びのモノクローム(三浦 明博)


■あらすじ

CM制作者・日下が骨董市で偶然手に入れた、古いフライフィッシング用のリールとスチール缶。
その中から発見した16ミリフィルムの映像をCMに利用しようと考えた日下だったが、そのことが戦時中の封印された犯罪を暴き出し、新たな殺人を引き起こす結果に!?
第48回江戸川乱歩賞受賞作、待望の文庫化。


■感想

三浦 明博さんの作品は初めてとなります。
タイトルに中二病心をくすぐられて手に取ってみましたが(笑)、あらすじを読むとちゃんとしたミステリー小説のようなので購入してみました。

こういうのって、なんていうんでしょうね。
まさしく、上手く隠したと思われていた過去の犯罪がひょんなことから明るみに出た、というお話です。

戦時中に正当化されていた過去の殺人が時を超えて、非人道的だと批判を浴びる現代に明るみに出ようとしている。
現代においても罪に問えるものではないが、要職についている人間にとってはスキャンダラスな出来事で。
その出来事をもみ消すためにさらなる罪を犯しますが、結局は明るみになってしまうというのが、ざっくりな物語の流れとなります。

正統派といいますか、本格的といいますが、どちらかというと堅めのミステリー小説なので、もしかしたら読む人を選ぶかもしれません。
それでも割りと読みやすい文章なので、テンポよく読み進められる作品でした。
ミステリー小説好きには一度、読んでみてほしいなと思ったくらいです。

こういう歴史に紐づいた罪には問えない罪って、目に見えてないだけでたくさんあるんだろうなあ。