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【読書レビュー】地底獣国(ロスト・ワールド)の殺人(芦辺 拓)


■あらすじ

一九三〇年代。創世記の伝説を探るためアララト山を目指した<ノアの方舟探検隊>の飛行船。
奇人学者や美人秘書、新聞記者ら一行を待ち受けていたのは絶滅したはずの恐竜と謎の部族、そしてスパイに連続殺人。
冒険に満ちた古の怪異を、博覧強記の俊英が精緻な論理で解き明かす奇想天外な傑作本格ミステリ


■感想

あらすじ買いをしまして、芦辺 拓さんの作品は初読みとなります。
おもしろかったジュール・ヴェルヌの『地底旅行』を思い出し、即決で購入しました。

物語の始まりは、1人の新聞記者が火山の火口へと降りていくところから始まります。
随分と唐突な始まり方でありながら、そこで『何か』を発見した描写は、読者のわくわく感を煽ってきます。

そこからシーンは現代に写って、本作の探偵役である森江 春策が軸に物語は進みます。
自分の祖父について情報を集めていた森江 春策の前に現れた1人の老人。
その老人は森江の祖父が絡んでいると思わしき昔話を始めるのでした。

その昔話があらすじにもある1930年度にアララト山を目指した探検隊のことで。
その話には、日本の歴史が世界と繋がっているという話、恐竜や謎の部族の登場など、ロマンで溢れています。

そうしてアララト山頂上の窪地という閉ざされた環境で起きた連続殺人事件。
その事件の謎と犯人を、森江が老人の話をもとに論理的に解き明かしていくというミステリーパートが物語後半に出てきます。

本作にジャンルをつけるとしたら、SF冒険ミステリーでしょうか?
なんともセンスがない感じの命名になりますが。笑

昔話の時代が1930年代ということで、歴史的な背景から恐竜や謎の部族が何かの隠喩だという推理もあり、これもおもしろかったです。

わたしとしては一度で二度おいしいような気持ちで読めたので、購入してよかった作品でした。