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【読書レビュー】春を嫌いになった理由(誉田 哲也)


■あらすじ

フリーターの秋川瑞希は、テレビプロデューサーの叔母から、霊能力者・エステラの通訳兼世話役を押しつけられる。

嫌々ながら向かったロケ現場。
エステラの透視通り、廃ビルから男性のミイラ化した死体が発見された!
ヤラセ?それとも……。

さらに、生放送中のスタジオに殺人犯がやって来るとの透視が!?

読み始めたら止まらない、迫真のホラー・ミステリー!


■感想

誉田 哲也さんの作品は何冊か読んでおり、好きな作家さんの一人です。
誉田さんの作品の中で一番有名なものといえば…ドラマ化もされた『ストロベリーナイト』でしょうか?
(わたしはまだ、小説で読んだことはないのですが。笑)

誉田さんの作品なら失敗はないだろうと思って手に取った本作。
『春を嫌いになった理由』。
タイトルもなんだかおしゃれ。

あらすじに書かれていた通り、ホラーとミステリーの要素が見事に融合したおもしろい作品でした。

ストーリーは主に二人の人物(+ストーリーの盛り上げ役の人物が一人)について描かれています。

一人はあらすじにも登場する、過去の体験から超能力のような超常現象を嫌悪する秋川 瑞希
そしてもう一人は、中国の貧しい村から成功を求めて日本に密入国した林 守敬。

瑞希のストーリーは時折コミカルに、守敬のストーリーは終始シリアスに進んでいき、ストーリーの終盤ではその二人のストーリーが思わぬ繋がりをみせます。

そして思わぬ展開はこの二つのストーリーが繋がることだけではなく、瑞希自身についても「そうだったのか!」と思ってしまう展開がありました。

こういう気持ちいい驚きは、誉田さんの作品の特徴のように思えますね。
文章も読みやすいので、こういった点がわたしは好きなのだと思います。

約三百八十ページある長編作ではありますが、さくさく読めるのでおすすめです。

あと、ストーリーに出てくる超能力系のテレビ番組も、「以前はこういう番組があったな~」となんだか懐かしい気持ちになりました。笑