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【読書レビュー】ZOKUDAM/ゾクダム(森 博嗣)


■目次


1. あらすじ

「この赤い方が、ゾクダム・一号機、通称、赤い稲妻だ」
黒古葉博士が指さした先には全長十二メートルの巨大ロボットが!
遊園地の地下にあるZOKUDAMに配属されたロミ・品川とケン・十河の任務は、このロボットに乗り込み戦士として怪獣と戦うことらしいのだが……。
この様子を密かに窺う男女の姿が。
対抗組織TAIGONの揖斐純弥と永良野乃の二人だった。


2. 感想

タイトルとあらすじを読んだときにはもうガンダムのことしか頭に思い浮かびませんでした。笑
本作はなんだろう…森さんの趣味とかなのかな?
言葉を選ばずにいうと、何ら中身のない、頭を使わず気楽に読める、まさに娯楽のためにあるような本でした。

ロボットに登場して戦う話はアニメ、漫画、実写、小説、いろいろな形態で世に溢れているかと思うのですが、大体どれも裏側の話は見せませんよね?
裏側の話というのは、例えばロボットを作る過程とか、搭乗者の訓練について深堀するとか、ロボット製作の第一人者たちの腹の中とか、そういった華やかなシーンではないところのことですね。

本作はまさしくそういった裏側を描いており、登場人物たちの誰しもが一癖も二癖もあってコミカルにストーリーが進みます。
このコミカルさが気軽に読めるポイントのひとつでもありますね。

実際のところストーリーがロボットで怪獣と戦う直前で終わってしまうこともあり、まさにメインストーリーの前座感、「これぞロボットものの裏側だ!」という気持ちで読み終えることができました。

ちなみにこの『ZOKUDAM』、森さんのZシリーズと呼ばれる作品なのですが、なんとシリーズ二作品目の小説でした。
一作品目は『ZOKU』という作品らしいのですが、あとからそれを知って驚きました。笑

ZOKU』と『ZOKUDAM』は登場人物が同じのパラレルワールドの話だったとのことで、二作品目の『ZOKUDAM』から読んでも問題ないストーリー展開となっているようです。
とはいえ、やっぱり『ZOKU』を読んでから読んだ方がおもしろさが増したんだろうなあ。

ほとんど内容はないように思えるけどちゃんとストーリー性は損なわれていなくて、
コメディ色の強い癖のある登場人物たちのヒューマンドキュメンタリーとも思える、
難しい話はなしで頭をからっぽにしながら登場人物たちの喜怒哀楽を見る。

そういった作品をお探しの方は、ぜひ本作を読んでみてください。
主人公ロミ・品川の連続四文字熟語で自信の精神状態を表現するところ、妙にハマってきますよ。笑