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【読書レビュー】真夜中のマーチ(奥田 英朗)


■あらすじ

自称青年実業家のヨコケンこと横山健司は、仕込んだパーティーで三田総一郎と出会う。
財閥の御曹司かと思いきや、単なる商社のダメ社員だったミタゾウとヨコケンは、わけありの現金強奪をもくろむが、謎の美女クロチェに邪魔されてしまう。
それぞれの思惑を抱えて手を組んだ3人は、美術詐欺のアガリ、10億円をターゲットに完全犯罪を目指すが…!?
直木賞作家が放つ、痛快クライム・ノベルの傑作。


■感想

奥田 英朗さんって、『イン・ザ・プール』の作者だったんですね!
イン・ザ・プールは映画でしか観ていませんが、他の作品履歴を見てみると、奥田さんは作品の幅が広い方なんですね。
新しい発見で楽しいです。

それはさておき、本作の真夜中のマーチ。
とにかくストーリーのテンポが良くて、あっという間に読み終えてしまいました。

あらすじによるとジャンルとしてはクライム小説なのですが、読み終えたあとはヨコケン、ミタゾウ、クロチェの青春小説を読んだ気持ちにもなります。
どの登場人物も愉快で癖のある人物ばかりで、ストーリーのテンポの良さも相まってコメディ小説を見ている気持ちにもなります。

いろんな『おもしろい』をぎゅっと詰めて、それを上手くまとめた小説だなというのが一番の感想でしょうか。
ぜひ、みなさんにも読んでみてほしいと思いました。

イキがってはいるけどどこか小物感が拭えない、心は純情なヨコケン。
ドン臭さはピカイチで周囲からは冴えない男認定を受けているものの、実は図太いミタゾウ。
その若さと美しさで全てを手にしているように見えても孤独で、密かに寂しがり屋なクロチェ。

全員20代の彼らは少々こじらせている気はあるものの、3人で出会ってそれぞれが『何か』を手に入れるストーリーでした。

あとストロベリーがかわいい!
(クロチェに従順な、いかついドーベルマンです。笑)