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【読書レビュー】洗濯屋三十次郎(野中 ともそ)


■あらすじ

中島三十次郎は、海外へ渡る兄に代わってクリーニング店を継いだ。
腕利き職人・荷山長門はちょっと(だいぶ)頼りない店長に不安を隠せない。
ある日ナコという少女が、ケチャップ汚れだけを落とし、ついている灰はそのままにしてほしいとブラウスを持ち込んできた。

――誰もが心に染みを抱えている――。

喜びも、やり切れなさも優しく包む物語をお届けします。


■感想

野中 ともそさんの作品は初めて読みます。
本作はいわゆるジャケ買いをした作品となります。

まず、読み始めてすぐに第一印象は「なんか読みにくいな」でした。

別に難しいや全く馴染みのない言葉が並んでいるわけでもない。
独特の文体や口調で書かれているわけでもない。
至って標準的な小説だと思うのですが、なぜか読みにくかったです。
(最後まで読んでみても、なぜ読みにくかったのか理由は判然とせず…。)

しかしながら、この謎の読みにくさは途中から慣れてくるので問題にはなりませんでした。

ストーリーのジャンルとしては、ヒューマンドラマになるんでしょうか?
少し癖のある人々が、見て見ぬふりをしてきたこと、見えていなかったこと、見ないと決めたことなど、内に抱えていた『染み』と向き合うというようなストーリーになります。

登場する人物の年齢層が広いので、ストーリーの中で描かれるそれぞれの心情や感情はバラエティに富んでいておもしろく思いました。

とはいえ、読後の正直な感想としては「可もなく不可もなく」といったところです。

決しておもしろくなかったわけではありません。
でも、読み終わったあとには何も残りませんでした。
(ストーリーがただ通り過ぎていった感じ)

再読したいと思うわけでもなく、誰かに勧めたいと思うわけでもない。
でも、消極的な感想を言うほどわたし的におもしろくない作品というわけでもない。

まさしく、可もなく不可もなく、の作品でした。

わざわざ探して購入するほどではないですが、例えば図書館などで偶然見つけたりしたら、読んでみるというのは全然ありだと思います。