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【読書レビュー】旅猫リポート(有川 浩)

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■目次


1. あらすじ

野良猫のナナは、瀕死の自分を助けてくれたサトルと暮らし始めた。
それから五年が経ち、ある事情からサトルはナナを手離すことに。
『僕の猫をもらってくれませんか?』
一人と一匹は銀色のワゴンで"最後の旅"に出る。
懐かしい人々や美しい風景に出会ううちに明かされる、サトルの秘密とは。


2. 感想

有川 浩さんの作品は今までも何冊か読ませていただいており、いつ読んでも非常に読みやすい作品ばかりなので安定していますね。
そして本作を読んだ直後の感想は、「先が見えてて想像通りなのに、感動せずにはいられない」でした。

サトルを取り巻く5人の人間と1匹の猫がそれぞれの視点で、主にサトルとどんな風に出会ったか、サトルがどんな人間だったのか、そのときの自分はどう感じていたか、今の自分はどう感じているかを語っていきます。
そうして見えてくる人間くさい背景が、「感動せずにはいられない」要素のひとつになっているように感じました。
こういう書き方ができるのも、有川 浩さんの強みのように思います。

そして何より読みやすいのが良い。
一文読めばその光景がふわっと頭の中に広がって、想像しやすいから次の一文がすぐ読める。
その繰り返しでするする読めていけるので、気づいたらもう最終章になっていた、という感じでした。

主人公のサトルもナナも、その生き方が素敵すぎてとっても好きになりました。
もちろんサトルを取り巻く5人も、不器用な面はあるもののやっぱり素敵な人たちで、温かい気持ちで最後まで読み進められます。

あ。でも涙もろい方は読む場所に気を付けてくださいね。
わたしも涙もろいタイプなのですが、物語終盤を電車の中で読んでしまい、短ければ2~3文に1回は上を見たり一呼吸おいたりしながら、うっかりぽろっと泣いてしまわないようにするのが地味に大変でした。

手軽に読める作品で、ほっこりしながら、かつ時折胸を突く物語をお探しの方にはぴったりかもしれませんね。