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【読書レビュー】塩の街(有川 浩)


■あらすじ

塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。
塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。

その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭と真奈。
世界の片隅で生きる2人の前には、様々な人が現れ、消えていく。

だが――「世界とか、救ってみたくない?」。

ある日、そそのかすように囁く者が運命を連れてやってくる。

『空の中』『海の底』と並ぶ3部作の第1作にして、有川浩のデビュー作!
番外編も完全収録!!


■感想

あらすじから見えるディストピア感と、タイトルに惹かれて購入しました。
有川 浩さんの作品は優しくて読みやすい印象がありますが、本作もそうでした。

あと先にお伝えしておくと、これは立派な恋愛小説です。笑

塩害――ある日突然手から塩を吹き、身体の末端から徐々に塩と化し、終いには塩の像となってしまう奇病。

原因不明の塩害に侵され、人が消え、街が正常に機能しなくなった世界。
ストーリーの前半は、そんな世界で賢明に生きている人を描いていきます。

愛する人と一緒に溶け合うことを選んだカップル。
伝えられなかった恋心を胸に、人の優しさを感じながら白く、硬くなった青年。
見て見ぬフリをしていた現実を、心の底から受け入れた少女。

それぞれがこの世界と人間の残酷さと、それでもどこかに残る美しさを描いています。

そうしてストーリーの後半。
そんな残酷で美しい世界に割り込んできた一人の男の登場をきっかけに、物語は一気に進みます。

よりSFチックな展開を見せたかと思いきや、心の距離が急接近する秋庭と真奈という2人の主人公。
ベタベタの恋愛小説と言っても過言ではないほど、違う小説を読んでいるのかと思うほど、主人公2人の恋心を中心にストーリーは最後まで駆け抜けます。

本作は漫画化もされているそうなのですが、これは確かに恋愛漫画にぴったりなストーリーだと思いました。

同じ本に収録されている番外編もいい味出してます。まさしく番外編って感じ。

ちなみに有川さんのデビュー作ということなのですが、あとがきで本作の初回の発行が電撃文庫からだと書いてあって驚きました。
何が驚いたって、デビュー作というにはよくできている(設定や書き方など)し、電撃文庫デビューっていうところですよ。
わたしの有川さんへの勝手なイメージでしたが、まさかラノベ系レーベルからのデビューとは思っていませんでした。

そういう意味でいうと、本作はラノベっぽさが残っているので、ラノベが苦手な方にはおすすめしにくいですかね。

残りの2部作も読んでみたいと思う作品でした。