ゆるぽぽ帳

趣味の本やらゲームやら

【読書レビュー】春狂い(宮木 あや子)


■あらすじ

人を狂わすほどの美しさを内包した一人の少女。
父親や男たちの欲望から逃れ女子高に入学するが、教師に襲われ学園を去る。
しかし転校先でも同級生からのいじめと教師からの暴行は繰り返され――。
やがて少女は安息を求め、教師の前でスカートを捲り言う。
「私をあと二年、守ってください」。
桜咲く園は、天国か地獄か。
十代の絶望を描く美しき青春小説。


■感想

宮木 あや子さんの小説は初めて読んだのですが、テレビドラマにもなった『校閲ガール』の著者の方だったんですね。
あらすじに書かれていた『絶望』と『青春』の言葉のギャップに惹かれ、購入した1冊となります。

かつて同じ大学に通っていた美しい人に恋い焦がれ、その想いを目の前にいる美しい少女に向ける英語教師A。
長く夫との別居生活を続けながら、その寂しさを紛らわせるために身体を売り続ける美しい妻。
自死を選んだ教え子の美しい少女の霊と言葉を交わす数学教師・前原。
生まれた瞬間から奴隷になると運命づけられ、唯一無二の魂の片割れを失った美しい少女。
美しい妻を愛するが故に現実から逃げ、その逃避先に美しい少女を選んだ男・結城。

本作は、それぞれの登場人物たちの視点で共通の存在である『美しい少女』を軸に、美しい少女の壮絶な青春時代を語るストーリーとなっています。

でもね、青春小説というには残酷すぎる。
残酷すぎるのだけれど、とても美しい。

宮木さんって素敵な文章を書くんだなあと発見できました。

230ページほどの物語なので、読む量としては多くはないです。
それでも内容が非常に濃くて重たいので、そういう内容が苦手な方にはおすすめできない作品です。