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【読書レビュー】鬼(今邑 彩)


■目次


1. あらすじ

引きこもっていた息子が、突然元気になった。
息子を苛めていた子が、転校するというのだが……「カラス、なぜ鳴く」。
かくれんぼが大好きだったみっちゃん。
夏休みのある日、鬼になったみっちゃんは、いつまで待っても姿をあらわさなかった。
そして、古井戸から……「鬼」。
他、言葉にできない不安、ふとした胸騒ぎ、じわじわと迫りくる恐怖など、日常に潜む奇妙な背中を繊細に描く10編。


2. 感想

今邑 彩さんの作品は『ルームメイト』『七人の中にいる』に続き、本作で3作目となります。
一番の感想は、世にも奇妙な物語好きにはぜひ読んでみてほしい作品、です。

1編目「カラス、なぜ鳴く」
あまり家庭を顧みなかった夫の、妻への拭い切れない殺人疑惑。

2編目「たつまさんがころした」
『空耳』が示すのは運命の声か、無意識の願望か。

3編目「シクラメンの家」
夫がいながら愛した男が犯した罪は、衝動的な犯行だったのか、密かに計算された愛ゆえの犯行だったのか。

4編目「鬼」
幼いままのみっちゃんがその姿を現すのは、死を招きに来たのか、死が近いから来たのか。

5編目「黒髪」
献身的な愛を宿した『長い黒髪』が繰り返す献身的な愛。

6編目「悪夢」
繰り返す悪夢は、予知夢かはたまた遠い遠い過去の記憶か。

7編目「メイ先生の薔薇」
特別な薔薇を咲かせ続けるための特別な肥料は正体はなにか。

8編目「セイレーン」
その歌声に魅入られた者はもう戻らない。

9編目「蒸発」
自分が消えた世界で、自分を強く想ってくれる人はいるのか?

10編目「湖畔の家」
大好きだった母を殺した人を思い出す。

日本特有の心理的に迫ってくる怖さや不思議さがつまった一冊となっています。
短編集なので読みやすくておすすめです!