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【読書レビュー】最後の封印(今野 敏)


■あらすじ

レトロウイルスの進化形に感染した母親から生まれた子供<ミュウ>。
生まれながらに特殊能力を持つ彼らを、抹殺しようとする勢力と保護する勢力に世界は二分されていた。
元傭兵のシド・アキヤマはミュウ・ハンターとして、保護陣営の厚生省特別防疫部隊と闘っていた。
その最中、ミュウを守ろうとする研究者・飛田靖子と出会う。
彼らは人間だという靖子にアキヤマは困惑し……。


■感想

今野 敏さんの作品は初読みとなります。

ウイルス保持者で特殊能力を持つミュウ。
そんな彼らを、排除する側と保護する側に分かれた世界の勢力。
そして排除側のハンターと、保護側の研究者との出会い。

「なにこれ、おもしろそう!」と思って手に取ったわけですが……率直に言います。
個人的には、大しておもしろくない作品でした。

ハンターのシドが戦う描写は、そのシーンが頭の中に浮かぶほどかなり詳細に書かれています。
(読後に知ったのですが、今野さんはアクションものを書くのがお得意のようです。)

設定だっておもしろいと思います。
実際にあらすじを読んで、わたしは惹かれました。

なのに。それなのに。

なぜ世界はミュウを排除する側と保護する側に分かれたのか。
特殊能力を持ったミュウとはどんな存在なのか。
ハンターのシドと研究者の靖子が出会い、互いにどう影響するのか。
ミュウを追って戦い続けたシドの心の有様はどうなるのか。

上記のようなことを期待して読み進めたわけですが、読み終わっても全然腑に落ちませんでした。

書かれていないわけではないけれど、内容が薄い。
その薄さのまま、唐突に物語の幕切れを伝えられたので、不完全燃焼な気持ちが残る。
結局この物語で何を一番伝えたかったのかが分からなかった。

なんというかこう…シドのアクションだけ見せられて、その戦う背景やシド自身や周りの人物の存在はおざなりだったという印象が残りました。

今野さんの他の作品は好評なようなので、機会があればそちらも読んでみたいと思います。
(文章自体は読みやすかったので、わたしが初回で読む本を間違えただけな気がしています。)