【ネタバレ】隔離島フェーズ0(仙川 環)
■あらすじ
若き医師・一ノ瀬希世は、伊豆諸島の小さな島の診療所に赴任してきた。
人口四百人弱の同地には、健康促進運動が浸透している。
住民たちは皆いきいきと暮らしており、長患いする者もいないという。
だが、その運動に関心を抱いていた旧友の女性新聞記者が突然失踪。
希世は不審な死や陰鬱な事件に次第に包囲されてゆく。
この島で、一体何が起きているのかーーー。
■感想
医療サスペンスということで読んでみました。
仙川 環さんの本は初めて読みます。
読んだ感想を端的にお伝えすると、どんでん返しのない、想像通りの展開を進む優しいミステリー小説でした。
あらすじの「小さな島で健康促進運動と不審死」となれば、「あ。何かしら人体実験的なことやってるんじゃないの?」という発想に行き着く人も多いかなと思うのですが、まさにその通り。
医療企業と連携した個人ごとに成分をカスタマイズされて届く健康ジュースがキーとなっていて、実はそれが健康のためではなく人体実験のために成分がカスタマイズされていた、ということです。
そして島の診療所では検査や治療ができない患者が現れた際には、その患者の健康ジュースに致死成分を入れる…これが不審死に繋がります。
なぜ致死成分を入れるかと言うと、島外の大きな病院で検査などをされた場合に、秘密裏に行なっている人体実験のことが露見してしまうリスクがあるからなのです。
こんな感じで島の秘密に徐々に気づいていった希世は、身に迫る危険と戦いながら、その秘密を世間に公表しようと医療企業と島民たちに立ち向かうというお話でした。
複雑な伏線や察しにくい描写は特になく、安心して読めるミステリーなので読みやすかったです。