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【読書レビュー】雨の日も、晴れ男(水野 敬也)


■あらすじ

二人の幼い神のいたずらで不幸な出来事が次々と起こるアレックス。
だが、会社をクビになろうとも、家が焼けようとも、妻子が出ていこうとも、彼は常に他人を楽しませ、前向きに生きていた。

その様子を見た二人は、全知全能の神ゼウスの制止を振り切って……。

人生で一番大切な事は何かを教えてくれる感動のエンターテインメント小説。


■感想

1時間ちょっとくらいで読み終えてしまう、軽快に読める短編。
水野 敬也さんの作品は、『夢をかなえるゾウ』を含めて2冊目となります。

二人の幼い神様のいたずらから始まる本作。
二人はその幼さゆえに自分たちが持つ力の意味や、分別がつかないところがあります。

幼い神様たちのいたずらは、たまたま二人の視界に入っただけのアレックスが対象になってしまい、アレックスは多くの人が嘆き悲しむほどの不幸の連続に見舞われてしまいました。

それでも決して落ち込んだ様子を見せず、むしろ自分自身を笑いに変えて周囲の人たちを楽しませてさえいたアレックス。
そんなアレックスの様子を見ていたこともあり、どうにかアレックスを不幸にさせようと躍起になってしまいます。

そうして何度目かの不幸が続いたとき、ついにアレックスは大きな悲しみを見せます。
それを見た二人の神様は、陽気に見えていたアレックスがずっと傷つき苦しんでいたこと、自分たちがいかに愚かなことを仕出かしたのか、ようやく気づきました。

これ以上アレックスを不幸にしてはいけない。
アレックスの命そのものさえ脅かしかねない不幸を食い止めるべく、二人の神様は神のルールを破ってアレックスのもとへ駆けつけます。

しかし二人がどんなに抗おうとしても、アレックスの命は徐々に失われていき……。
最後はアレックスの運の良さを見せつけるかのように、ハッピーエンドで終わるストーリーでした。

アレックスの、不幸の中でも楽しく生きようとする姿が印象的な作品です。

その人が笑っていたからといって、傷ついていないわけではない。
その人がいつも通りの態度だからといって、苦しんでいないわけではない。

『本当に大切なことは目に見えない』的な気づきを再度与えられました。

文章はひとつひとつが短く軽快に読み進められるので、さくっと読めるハッピーエンドをお求めの方にはお勧めです。