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【読書レビュー】Φは壊れたね(森 博嗣)


■目次


1. あらすじ

その死体は、Yの字に吊られていた。
背中に作りものの翼をつけて。
部屋は密室状態。
さらに死体発見の一部始終が、ビデオで録画されていた。
タイトルは『Φは壊れたね』。
これは挑戦なのか?
N大のスーパ大学院生、西之園萌絵が、山吹ら学生たちと、事件解明に挑む。


2. 感想

森 博嗣さんの作品は、『すべてがFになる』と『スカイ・クロラ』以来の3冊目になります。
森さんの作品は概ねシリーズ化されているので、上記を作品をきっかけに『S&Mシリーズ』『スカイ・クロラシリーズ』を読みたいと思いつつ、つい他の作品を読んでしまったわたし。
そして今回もまた別のシリーズ『Gシリーズ』に手をつけてしまいました。笑

Φ(ファイ)は壊れたね。

このタイトルを見て、本作を手に取らないなんてことがあるでしょうか?笑

森さんの作品は科学的な知見がベースにあり、難しいながらも勉強になり、かつ上質な謎解きが楽しめるイメージがあります。
本作もそのイメージは裏切らず、謎解きの結果は意外でしたが、ミステリー小説として楽しませていただきました。

しかしながら、不可解な死体が出来上がるまでの動機については、想像の域を出ない感じの種明かしとなっています。
もともとシリーズものなので、もしかしたら伏線として今後のシリーズ作品で回収されるのかもしれませんね。
一冊完結型がお好きな方には、読み終わったあとにちょっとしたもやもやが残るかもしれません。

あと森さんの魅力には、その独特な文章と言いますか、言い回しと言いますか、テンポと言いますか、唯一無二な文章力と表現力もありますね。
読む人を選んでしまうのかもしれませんが、妙にクセになるのでわたしは好きです。
本作をきっかけに改めて『S&Mシリーズ』を読むか、『Gシリーズ』を読み進めるか、悩ましいところですね。

ミステリー小説がお好きな方で森さんの作品を未読の方はぜひ、本作はもちろん、他の作品も一度読んでいただければと思います。