【読書レビュー】七人の中にいる(今邑 彩)
■目次
1. あらすじ
クリスマスイヴを控え、ペンション「春風」に集った七人の客。
そんな折、オーナー・晶子のもとに、二十一年前に起きた医者一家虐殺事件の復讐予告が届く。
刻々と迫る殺人者の足音を前に、常連客の知られざる一面があらわになっていき……。
復讐を心に秘めているのは誰か。
葬ったはずの悪夢から、晶子は家族を守ることができるのか。
2. 感想
今邑 彩さんの作品は『ルームメイト』に続き、本作で2作目となります。
一番の感想は、シンプルに読みやすい文章で、先が気になる展開が次々と出てくる良いサスペンス小説でした。
平穏な生活を続ける晶子のもとに届いた、一通の差出人のない封筒。
そこには、中年男が血の海の中で凄惨な死を迎えている写真が入っていた。
その男は、晶子も関係している21年前の医者一家虐殺事件の実行犯である人物。
そして写真と一緒に同封された手紙には、今年のクリスマスイヴに晶子とその家族に復讐するという旨が。
ちょうどクリスマスイヴに常連客だけ集まる予定だったペンションで、晶子は当日の宿泊客の中の誰かが復讐者ではないかと疑い始める。
当日の宿泊客は以下の8人です。
- 元刑事・佐竹(43歳)
- 食品会社経営・三枝夫妻(74・70歳)
- 作家の見城(26歳)
- 晶子の一人娘・あずさ(20歳)
- サラリーマン夫婦・影山夫妻(34・29歳)
- ビデオマニア・北町(35歳)
偶然にも佐竹には復讐のことが知られてしまい、佐竹は個人的に調査を進めます。
一人娘のあずさも復讐対象であることから除くとすると、復讐者候補は6人になってしまいます。
本作のタイトルの『7人目』は、どこの誰なのでしょうか?
ある人を怪しいと思えば、知られざる一面があらわになって疑惑が解消される。
またある人を怪しいと思えば、これまた知られざる一面があらわになって疑惑が解消される。
この繰り返しで辿り着いた先に見える復讐者は一体誰なのか?
復讐予告が近づく中、どんどん追い詰められる晶子の描写も書かれていますが、ここの描写はちょっとだけ物足りなかったかな?
ちなみに復讐者が明らかになったとき、わたしは「そっちだったかー!」と意外性を楽しむことができました。
初心者にも読みやすい本だと思うので、ぜひ興味があれば読んでみてください。